2010/06/11

[書評]放課後プレイ

黒咲練導 「放課後プレイ」


まずは最初に聞いておこう。

ツリ目が好きかい?
三白眼で睨まれたいと思うかね?
漫画の中でならドSって最高だと頷くかい?
黒髪前髪がそろってるロングの女性は別格に決まっているよな?
黒タイツは人類の宝だ!
ツンデレなんてお腹いっぱいだ!だが良いツンデレは別腹だ!

そんな人は今すぐに買って来い。
話はそれからだ!っていうか、それで終わりだ。
これから先を見るまでも無く、君たちのための本だ。



さて、ではここを読んでいる上記に該当しなかった残念な人たちに軽く説明しよう。

この漫画はカテゴライズすれば、いわゆる今流行の「日常系4コマ」とされるものである。

ただ、他の作品とは趣向が違う部分も多い。
まず、この漫画には人物の名前が一切出てこない。
どころか、登場人物は2人しか出てこない。
高校生の男と女。
物語はすべて、この男の部屋で展開され、彼女である(作中で女の方が自らを彼女だと称しているだけで男からの言及は無いW)女が部屋に遊びに来ることから始まる。
電撃Play Station誌上で連載されていたことから、主に会話はゲームの話。

ここまで書いていてなんだが、これぜんぜん日常系じゃねぇんじゃねぇか?という話ではあるが、あえて無視しよう。

ほとんどドラマらしいドラマは展開しないが
唯一、彼女の側が執拗にキスを迫るがいつも、、、という葛藤が描かれるのみ。
ということは、この二人は付き合っているが、キスすらしたことが無いということなのだ。
名前もそうだが、そもそもこの二人、どうやって出会い、どうやって恋に落ち、どうなって今につながるのか?
とか
男の方は一人暮らしみたいだけどなんで?とか
一切、情報は読者に提示されない。
そこは読者が補完しろってことなのか、同人で描けってことなのかはわからないが、少なくとも作者の興味は「その日常」にあるわけで「ドラマ」にあるわけではないということは良くわかる。


なら、何を楽しむのか?

ゲーム好きのカップルの密室いちゃいちゃを楽しむ。
これに尽きる。
傍若無人な彼女と、基本受動的でオクテてというか偏屈な彼氏の微妙な距離感を楽しむ物なのだ。
本当に閉じられた世界で、二人の掛け合いが延々と繰り返される。
また、ゲームやアニメの話などが理解できれば、色々な意味で作者の趣味が「良い」ことがわかるだろうw
特に20代後半以降のゲーマーは確実に作者とシンパシーを感じることだろう。

決してそれ以外の何かを期待してはいけない。
そして、それが堪らなく良いのだ。

また、この作者はこの作品で知ったのだが、きっとその筋でも描いていたんじゃないかと思うくらいに妙にエロいwエロすぎる。
セクシャルな描写は一切無いが、エロい。
吐息とか、表情とか、間合いとか、空気とか。
そういう部分でエロスを表現できている。

もう読んでいて堪らなくなる。
そして、顔がにやけっぱなしになる。
最後には悶え死ぬ。

ネタバレは避けるけれども
先ほども少し触れたが、ほんの少しだけドラマはある。
実は色々がんばったり、変えたかったり、踏み込みたかったりするんだ。
ってお話。


黒咲練導の「放課後プレイ」
おすすめです!!




しかし、自己紹介を除いた実質初めての記事がこれかぁ。
我ながら非常に良い走り出しだと思う。

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